ブラッティ・エンジェル
それでも、サヨはなぜか望の無事を信じられなかった。どうしてだろう?こんなにも望の無事を祈っているのに。
「落ち着け。望は無事だ。ただ、天使を見る能力を失っただけだ」
今までに見たことのない優しいユキゲの優しい顔に、サヨはようやく落ち着いた。
無事なんだとうれしくて、サヨは涙を流した。まるで、心のある人間のように。安心したサヨは急に体の力が抜けて、その場にまたしゃがみ込んだ。
そばにいたウスイが、サヨのぬくもりを感じるように濡れているその頬に自分の顔を押しつけた。ウスイの目からも嬉しい涙が溢れていた。
セイメイも、ぎゅっと抱きしめたい思いを抑えてサヨの頭を撫でた。愛おしそうに愛おしそうに。
すっかり仲間外れにされていた神は、不満そうな顔はせずに親のような優しい笑顔をしていた。
「サヨ。君のこれからを話さないといけないね」
神の言葉に、ヒナガは目を見開いた。やっと訪れた幸せを崩されたような気分。
「サヨの犯した禁忌の数々は、罰せられるべきことではあります。しかし…」
「だから、勘違いしないでよ」
困ったように、神は眉を下げた。いじけた子供のようだった。
実際、いじけたように唇を尖らせ、うつむいていた。
「僕は助けてあげたいんだよ。そういったじゃないか。まったく。人を死刑執行人みたいに思っちゃって」
「実際、そうなんだヨ」
「ひどいなぁ」
口ではそう言ってはいるが、顔は楽しそうに笑っていた。
ヒナガの言葉、そして目の前にいる少年の言葉から、サヨは少年の正体の予想ができた。そして、話とはなにか。しかし、引っかかるところがある。助けたい?
禁忌を犯した天使を、神はお助けになるのか?
「サヨは禁忌を犯した。確かに罰を与えなければいけないね」
サヨは目の前で笑う少年に恐怖を抱いた。
確かにサヨは禁忌をいくつも犯してきた。今まで罰せられなかったのがおかしいぐらいだった。
しかし、今罰せられるわけにはいけない。せめて、望がサヨを忘れて幸せになるのを見届けるまでは。
「君を人間界に追放する」
「落ち着け。望は無事だ。ただ、天使を見る能力を失っただけだ」
今までに見たことのない優しいユキゲの優しい顔に、サヨはようやく落ち着いた。
無事なんだとうれしくて、サヨは涙を流した。まるで、心のある人間のように。安心したサヨは急に体の力が抜けて、その場にまたしゃがみ込んだ。
そばにいたウスイが、サヨのぬくもりを感じるように濡れているその頬に自分の顔を押しつけた。ウスイの目からも嬉しい涙が溢れていた。
セイメイも、ぎゅっと抱きしめたい思いを抑えてサヨの頭を撫でた。愛おしそうに愛おしそうに。
すっかり仲間外れにされていた神は、不満そうな顔はせずに親のような優しい笑顔をしていた。
「サヨ。君のこれからを話さないといけないね」
神の言葉に、ヒナガは目を見開いた。やっと訪れた幸せを崩されたような気分。
「サヨの犯した禁忌の数々は、罰せられるべきことではあります。しかし…」
「だから、勘違いしないでよ」
困ったように、神は眉を下げた。いじけた子供のようだった。
実際、いじけたように唇を尖らせ、うつむいていた。
「僕は助けてあげたいんだよ。そういったじゃないか。まったく。人を死刑執行人みたいに思っちゃって」
「実際、そうなんだヨ」
「ひどいなぁ」
口ではそう言ってはいるが、顔は楽しそうに笑っていた。
ヒナガの言葉、そして目の前にいる少年の言葉から、サヨは少年の正体の予想ができた。そして、話とはなにか。しかし、引っかかるところがある。助けたい?
禁忌を犯した天使を、神はお助けになるのか?
「サヨは禁忌を犯した。確かに罰を与えなければいけないね」
サヨは目の前で笑う少年に恐怖を抱いた。
確かにサヨは禁忌をいくつも犯してきた。今まで罰せられなかったのがおかしいぐらいだった。
しかし、今罰せられるわけにはいけない。せめて、望がサヨを忘れて幸せになるのを見届けるまでは。
「君を人間界に追放する」