ブラッティ・エンジェル
うわぁ・・・。
サヨは、感嘆の声しか出てこなかった。そんなサヨを、ユキゲは据わった目で見つめる。
少年の眉と瞼が、震える。
「あ、起きた。」
ユキゲはそう言って立ち上がり、小さな翼でまだボケーとしているサヨの肩に乗る。
「!天使・・・!天使は!?」
少年は飛び起き、叫びながら辺りをきょろきょろ見渡す。ハムスターかなんかみたいだ、とユキゲは頬杖をつきながら思う。
バチッと目が少年と合い、サヨはハッとする。
逃げなきゃ!
そう思うのに、少年を観察してしまう。
黒なのに明るくて、つやのある髪。どこまでも深く、吸い込まれそうな澄んだ黒目。子供らしい服装は、彼にぴったりだった。歳は、サヨの外見年齢ぐらいだろう。
天使は歳をとらない。成長しない。故に、天使に生まれ変わったときから姿は変わらない。サヨだって、外見年齢の倍以上は生きていた。
サヨは気持ちと裏腹に、少年を見つめたまま動けないでいた。見惚れていたのだ。
何十年も生きていて、こんなことは初めてだった。
「天使、だよな。」
少年の少し高いめの声をきいて、サヨの思考は動きだした。
こいつ、噂の・・・!
天界で今、一人の人間が噂になっていた。今日も天界を出るとき、耳にした。
「まったく。人間のくせに翼が見えるなんて、イヤだわ〜。」
「同意。メンドーなだけ。早く死なないかなぁ。」
「天使がそんなこと言って、どうする。でも、わかるかも。」
「でしょ〜。絶対、魂を迎えに行きたくない〜。」
「それはダメだろ。」
「いーの!生意気な魂が、また生まれないようにしなきゃ。」
サヨは、感嘆の声しか出てこなかった。そんなサヨを、ユキゲは据わった目で見つめる。
少年の眉と瞼が、震える。
「あ、起きた。」
ユキゲはそう言って立ち上がり、小さな翼でまだボケーとしているサヨの肩に乗る。
「!天使・・・!天使は!?」
少年は飛び起き、叫びながら辺りをきょろきょろ見渡す。ハムスターかなんかみたいだ、とユキゲは頬杖をつきながら思う。
バチッと目が少年と合い、サヨはハッとする。
逃げなきゃ!
そう思うのに、少年を観察してしまう。
黒なのに明るくて、つやのある髪。どこまでも深く、吸い込まれそうな澄んだ黒目。子供らしい服装は、彼にぴったりだった。歳は、サヨの外見年齢ぐらいだろう。
天使は歳をとらない。成長しない。故に、天使に生まれ変わったときから姿は変わらない。サヨだって、外見年齢の倍以上は生きていた。
サヨは気持ちと裏腹に、少年を見つめたまま動けないでいた。見惚れていたのだ。
何十年も生きていて、こんなことは初めてだった。
「天使、だよな。」
少年の少し高いめの声をきいて、サヨの思考は動きだした。
こいつ、噂の・・・!
天界で今、一人の人間が噂になっていた。今日も天界を出るとき、耳にした。
「まったく。人間のくせに翼が見えるなんて、イヤだわ〜。」
「同意。メンドーなだけ。早く死なないかなぁ。」
「天使がそんなこと言って、どうする。でも、わかるかも。」
「でしょ〜。絶対、魂を迎えに行きたくない〜。」
「それはダメだろ。」
「いーの!生意気な魂が、また生まれないようにしなきゃ。」