ブラッティ・エンジェル
 回想終了して、目の前にいる少年を哀れむ。
 当の本人が知るよしもない、悪口。それも、天使が・・・。てかあんなの、天使じゃないよ。
 サヨは心の中で、アハハはと笑っていた。
 逃げることなんか、頭から抜け落ちていた。
 「ちょっと、話ししようよ。」
少年はそう言うと、サヨの腕をつかんで走り出した。
 突然のことでサヨは、バランスを崩す。肩に乗っていたユキゲが、落ちないようにサヨの髪を握りしめる。
 混乱したまま必死に走るサヨは、なにかにつまづき 思いっきりバランスを崩した。
「わ!」
「うぉ!」
ブチッ
 二人の叫びに重なって、そんな効果音が聞こえた。
 サヨは頭にはしった小さい痛みに、顔を歪める。ユキゲは手のひらに乗っている、暗めのプラチナブロンドの糸を、青い目で見つめていた。
「・・・あ。」
やっちゃったー。と、ユキゲは頭をかく。サヨはそんなユキゲと糸を見て、合点がいった。
 ササーと、ユキゲは血の気が引く。サヨが、恐い形相を、ユキゲに向ける。
「ユキゲの、バカーーーーーー!」
サヨの叫び声が、人ごみの多い昼の東京に響き渡った。

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