ブラッティ・エンジェル
終わり、また始まる
私は、その後意識を手放してしまったみたいだ。
起きたら、懐かしい天界の自室にいた。
真っ白い清潔なシーツに掛け布団。一体、誰が洗濯をしているんだろう。
ホコリは一つも飛んでいない。床は微かに私の顔を写す。見上げた天井には蜘蛛の巣もないし、シミもない。壁紙に剥がれたところがない。穴も開いていない。サイドテーブルの上にあるランプに、虫が集まることはない。鏡は曇ってなく、ぴかぴか光っている。少しだって、割れてはいない。
綺麗で、清潔で、冷たい部屋に、私は帰ってきた。
垢がついていなく、塗装も剥がれていないドアノブが回る。
ギーとも言わないで、扉が開く。
聞こえるのは、二つの息づかいと、近づいてくる足音。
「あんたがサヨ?」
強気な、女性にしては少し低く、ちょっと無愛想に聞こえる声が上からふってきた。
私は上半身を起こしす。ベッドが硬いせいか、体が所どこと痛む。
相手の顔を見たが、見覚えのない顔だった。
服は希の絵で見た、着物を着ていた。
「あなたは誰?」
「あたしはあんたの後任者だよ」
「後任者って?」
何のことだろう?
それより、私、何でここに帰ってきているんだろう?
もしかして、アレは全部夢だったのだろうか。
いや、そんなことはない。アレは全部現実だった。
その証拠に、私の手には結晶になってしまった希がいた。
「オレのだよ」
彼女の背からヒョコッと飛んで出てきた、小さいヤツはよく知っている。
「何でユキゲがいるの?」
「だから、後任者っつたろ。イズミはオレのパートナー」
「そっか」
私は懐かしいユキゲの存在に、少しホッとした。
だけど、ユキゲは眉を下げて心配そうな顔をしていた。昔の元気さは欠片もない。
起きたら、懐かしい天界の自室にいた。
真っ白い清潔なシーツに掛け布団。一体、誰が洗濯をしているんだろう。
ホコリは一つも飛んでいない。床は微かに私の顔を写す。見上げた天井には蜘蛛の巣もないし、シミもない。壁紙に剥がれたところがない。穴も開いていない。サイドテーブルの上にあるランプに、虫が集まることはない。鏡は曇ってなく、ぴかぴか光っている。少しだって、割れてはいない。
綺麗で、清潔で、冷たい部屋に、私は帰ってきた。
垢がついていなく、塗装も剥がれていないドアノブが回る。
ギーとも言わないで、扉が開く。
聞こえるのは、二つの息づかいと、近づいてくる足音。
「あんたがサヨ?」
強気な、女性にしては少し低く、ちょっと無愛想に聞こえる声が上からふってきた。
私は上半身を起こしす。ベッドが硬いせいか、体が所どこと痛む。
相手の顔を見たが、見覚えのない顔だった。
服は希の絵で見た、着物を着ていた。
「あなたは誰?」
「あたしはあんたの後任者だよ」
「後任者って?」
何のことだろう?
それより、私、何でここに帰ってきているんだろう?
もしかして、アレは全部夢だったのだろうか。
いや、そんなことはない。アレは全部現実だった。
その証拠に、私の手には結晶になってしまった希がいた。
「オレのだよ」
彼女の背からヒョコッと飛んで出てきた、小さいヤツはよく知っている。
「何でユキゲがいるの?」
「だから、後任者っつたろ。イズミはオレのパートナー」
「そっか」
私は懐かしいユキゲの存在に、少しホッとした。
だけど、ユキゲは眉を下げて心配そうな顔をしていた。昔の元気さは欠片もない。