ブラッティ・エンジェル
一番奥がマスターの部屋だから、サヨは手前のドアの前に立った。
明るい、茶色の、普通のドア。
それなのに、なぜか開いてはいけない、禁断の扉のようだった。
そんなとき、内側から扉が開いた。
サヨに似た彼女は、サヨを見るなり口の端をにっとあげて、変な笑顔になった。
「サヨ、来てたのね。ねぇ、あっちで話したいことあるの」
「う、ん。いいよ」
嫌な予感がするのは、気のせいでいいのだろうか。
ゆずは部屋の中を覗くと、拳を突き出した。
それがどんな合図なのか、誰に送ったものなのか、サヨにはわからなかった。
ゆずがサヨをつれていったのは、マスターの部屋だった。
そこはまるで、ゴミの山。
床が、全く見えないし。何が何だったのかすら、わからないかもしれない。
それに、すごく煙草とお酒と汗臭い。
「ヒドいでしょ」
ゆずが服の袖を鼻にあて、困ったという顔をした。
サヨもたまらず、鼻をおさえる。
「酷いなんてもんじゃない、あってはならないものだよ」
サヨの言葉に、ゆずは大きな声をあげて笑った。
笑い事じゃないよ。本当に…。
普通の人なら、逃げるって。
「実はね、サヨに片付けてほしくて」
「言われなくてもやるよ」
サヨはそう意気込んで、腕まくりをする。そして、すぐにゴミの山の中に入っていった。
「あたしは、仕事の手伝いがあるから」
ゆずがそう言って出て行った事も、サヨは気がつかないぐらい、片付けに専念していた。
一つ片付けても、まだ片付いたようには見えない。逆に、問題が増えてしまう。
例えば服の山。畳んでタンスに入れようとするんだけど、そこはホコリだらけのゴミの山。
一人でピカピカにするには、一日はかかるだろう。だけど、ある程度でいいし、一人じゃない。
明るい、茶色の、普通のドア。
それなのに、なぜか開いてはいけない、禁断の扉のようだった。
そんなとき、内側から扉が開いた。
サヨに似た彼女は、サヨを見るなり口の端をにっとあげて、変な笑顔になった。
「サヨ、来てたのね。ねぇ、あっちで話したいことあるの」
「う、ん。いいよ」
嫌な予感がするのは、気のせいでいいのだろうか。
ゆずは部屋の中を覗くと、拳を突き出した。
それがどんな合図なのか、誰に送ったものなのか、サヨにはわからなかった。
ゆずがサヨをつれていったのは、マスターの部屋だった。
そこはまるで、ゴミの山。
床が、全く見えないし。何が何だったのかすら、わからないかもしれない。
それに、すごく煙草とお酒と汗臭い。
「ヒドいでしょ」
ゆずが服の袖を鼻にあて、困ったという顔をした。
サヨもたまらず、鼻をおさえる。
「酷いなんてもんじゃない、あってはならないものだよ」
サヨの言葉に、ゆずは大きな声をあげて笑った。
笑い事じゃないよ。本当に…。
普通の人なら、逃げるって。
「実はね、サヨに片付けてほしくて」
「言われなくてもやるよ」
サヨはそう意気込んで、腕まくりをする。そして、すぐにゴミの山の中に入っていった。
「あたしは、仕事の手伝いがあるから」
ゆずがそう言って出て行った事も、サヨは気がつかないぐらい、片付けに専念していた。
一つ片付けても、まだ片付いたようには見えない。逆に、問題が増えてしまう。
例えば服の山。畳んでタンスに入れようとするんだけど、そこはホコリだらけのゴミの山。
一人でピカピカにするには、一日はかかるだろう。だけど、ある程度でいいし、一人じゃない。