ブラッティ・エンジェル
「さっきのことなんだけど…」
「あ、見て!」
サヨはどうにかして、セイメイに話をさせないように妨害を頑張っていた。
まだダメ。セイメイという心を隠してくれる布が必要なのに!
「サヨチャン!話をそらさないで」
普段は声を荒らげる事のないセイメイが、感情を表に出し声を荒らげた。
ビクッとサヨは肩をふるわせる。
目を開いて、小刻み震えているサヨ。
最近では感じなくなった、恐怖という感情。
胸が、苦しい…。
「サヨチャンがボクのことを好きになって付き合ってくれているのなら、ボクは嬉しいヨ。ケド、そうじゃないでしょ」
「そんなこと…」
「サヨチャンが雨宮望に惹かれてるのは知ってたヨ。でも、雨宮望と一緒にいたら、サヨチャンが不幸になるばかりだと思ってた。
ここ数週間、一緒にいてようやく気がついたヨ。サヨチャンには、雨宮望が必要だって」
サヨの目が大きく開かれる。
今のサヨにとってのセイメイは、例えるならそう、義足。大事な足を無くなった代わりにつけた偽物。それがないと歩けないけど、望んだものではない。でも、それがないと一人で生きてはいけないし、前に進むことも、後戻りも出来ない。
そして今、その義足を奪われそうになっている。
そうなってしまったら、立っていることだって出来ないのに。
そう、セイメイは無くなったものを埋めるための、いわば生け贄のようなもの。
そして、失った大切なものは、認めたくはなかったけれど、雨宮望。
「あ、見て!」
サヨはどうにかして、セイメイに話をさせないように妨害を頑張っていた。
まだダメ。セイメイという心を隠してくれる布が必要なのに!
「サヨチャン!話をそらさないで」
普段は声を荒らげる事のないセイメイが、感情を表に出し声を荒らげた。
ビクッとサヨは肩をふるわせる。
目を開いて、小刻み震えているサヨ。
最近では感じなくなった、恐怖という感情。
胸が、苦しい…。
「サヨチャンがボクのことを好きになって付き合ってくれているのなら、ボクは嬉しいヨ。ケド、そうじゃないでしょ」
「そんなこと…」
「サヨチャンが雨宮望に惹かれてるのは知ってたヨ。でも、雨宮望と一緒にいたら、サヨチャンが不幸になるばかりだと思ってた。
ここ数週間、一緒にいてようやく気がついたヨ。サヨチャンには、雨宮望が必要だって」
サヨの目が大きく開かれる。
今のサヨにとってのセイメイは、例えるならそう、義足。大事な足を無くなった代わりにつけた偽物。それがないと歩けないけど、望んだものではない。でも、それがないと一人で生きてはいけないし、前に進むことも、後戻りも出来ない。
そして今、その義足を奪われそうになっている。
そうなってしまったら、立っていることだって出来ないのに。
そう、セイメイは無くなったものを埋めるための、いわば生け贄のようなもの。
そして、失った大切なものは、認めたくはなかったけれど、雨宮望。