届きますように


退店してから、あなたから来たメールは、「今日は、ありがとう。楽しかったよ。」ぢゃなくて、「これから、カモっちゃってください!」だったね。


「なんだこいつ」ってまた思った。

どうせもう来ないと思ったの。

だって、団体で妙にノリのいい客は、ほとんどが一元さんだから。

それに、けんがみせてくれた携帯には愛娘のプリクラ。

家族の愚痴を、漏らしもしなかったもんね。


なのに、一週間後。

開店一組目のお客様は、あなただった。

フリーだったけど。

あたしが、「なんで指名してくれないの?」って不貞腐れたら、渋々指名入れて「嘘だよ。最初からお前に会いに来た。」って。


嬉しかったけど、その時のあたし達は【キャバ嬢と客】。それ以上でも、それ以下でもなかったよね。

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