王様のナイショ話
猫爪の月
蒼く暗い夜空
ぽかり浮かぶは
猫爪の儚き月
後元を照らす
ランタンはなく
彼方に見える
街の灯り
月を見上げた旅人が
どこへ向かい
足を踏み出すのか
風はなにも語らない
淡き水色の空
高く浮かぶ
猫爪の鋭き月
朝焼けに
怯むことなく
高層ビルに
映る影
月から目を背けた人が
新しい一日を
どう生きていくのか
風は永久に尋ねない
危うき月は
ひっそりと
青空に消えてゆく
誰にも気づかれずに
end