Ｄｅaｔｈ　Ｆｉｌｅ
空が白くなり、朝がくると、親の人たちが起き出したのか、アラーム音が鳴りざわざわと部屋の外が騒がしくなってきた。

「ゆう、朝ごはんよ」

母の人がわたしを呼ぶ声が聞こえる。

「いらないっ！」

わたしは母の人の言葉を遮断するかのように一蹴した。

母の人がわたしの食べ物になにかを混ぜていることは一目瞭然だったので、わたしはお腹がすいていたけど、母の人の作るものはもう二度と口にはしないと決めた。

それよりも頭に閃いたことを実行に移したい衝動を抑えきれずに、わたしはただいらいらしていた。

それから、朝食が済んだのか、少ししてから父の人が出勤するために家を出る音がした。

家を出る際、母の人がわたしのことを怪訝そうに見つめていたけど、母の人は他人なのだからわたしには関係のないことだった。

電車を乗り継いで日用品量販店に行き、わたしは４リットルのポリタンクをふたつ購入した。

それとアウトドア用の大型のリュックサックと水を入れるポリ袋を購入すると、いったん家に帰り、４リットルのポリタンクをふたつ抱えて近所のガソリンスタンドに行った。

「すみません、ガソリンをください」

わたしは店員にその旨を伝えたが、店員は少し困惑している。

「あのね、その入れ物ではガソリンを販売できないんですよ。ガソリンを購入したいのなら専用の入れ物じゃないとだめなんですよ」

店員は親切に教えてくれた。

わたしは顔から火が出るほどに恥ずかしかった。

ちくしょう、恥をかかせやがって、そんないらだちが胸の中で渦を巻いていた。

結局、わたしはガソリンを購入することはできずにポリタンクを抱えて家に帰った。

そしてまた電車を乗り継いで日用量販店に行くと、ガソリンを入れる携行缶を購入した。
< 13 / 17 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop