Death File
わたしは朝早くから目をさまして朝を迎えると、リュックサックを背負い、4リットルのポリタンクを両手に持って、駅へと向かった。

駅までの道のりはそうとう体に負担をかけたが、今日で最後の体なので関係がなかった。

膝が痛むし、肩にリュックサックがめりこむが関係ない。

駅に到着してから、わたしはいったんトイレに行き、ペットボトルに入れられたガソリンをできるだけ飲むことにした。

ガソリンの味は日本酒よりももっとスーッと咽に入っていく感じで、どちらかといえば水の味に近かった。

ただ、胃の中に入るとそれは別物で、胃の中でのたうちまわるほど暴れた。

激しい嘔吐感がわたしを襲うが、わたしはなんとかそれをこらえた。

そして、トイレを出て切符を買いホームへと行った。

駅のホームは人で溢れかえっている。

それでもわたしは待った。

乗りこむ車両は急行。

しかもいちばん混雑している車両。

何本か電車をやりすごしてわたしは電車に乗った。

その際、4リットルのポリタンクの口を半開きにしておいた。

電車に乗りこんでから、車両内にガソリン独特の臭いがツーンと漂う。

わたしの前に向かい合わせに乗ったサラリーマンは明らかに嫌そうな顔をしている。

そして電車は発車した。

決行の時がきたのであった。
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