Death File
思い返せば、わたしの人生はあまり恵まれた人生ではなかったかもしれない。

記憶に残っているころから遡ってみると、わたしは幼稚園のころお遊戯会でおもらしをしてしまい、とても恥ずかしい思いをしたことから始まっている。

わたしは神経が繊細なせいか、緊張をするとお腹が痛くなるのだ。

そういったことがあり、お遊戯会では開演当初からお腹が痛かった。

それを先生に訴えてみたが、先生は

「もうちょっとでお遊戯会が始まるから、少しだけ我慢していなさい」

といって、わたしに我慢をさせてトイレに行かせてくれなかたのだった。

そういったこともあって、わたしはお遊戯会までなんとか我慢をしたのだったが、歌を披露する際に、わたしはとうとう我慢しきれなくなり、泣き出してしまい、そしておもらしをしてしまったのだった。

きっとあの当時のお遊戯会はそれは騒然としたに違いないが、わたしはおもらしをした後のことが少し曖昧になっている。

先生に連れられてどこかの部屋で汚れた下着などを脱いだような覚えはあるものの、細かなことまでは覚えてはいない。

それからだ、わたしの人生が暗くじめじめしたものになったのは、あの『おもらし事件』からなのだと強く信じている。

なぜならば、当時好きだったユウト君から砂場でウンコマンと呼ばれて砂をかけられたのが始まりだからだ。

幼稚園時代はウンコマンがわたしのあだ名だった。

みんなからウンコマンとか、バイキンと呼ばれて気持ち悪がられた幼稚園時代を過ごし、そして小学校へと上がった。

小学校低学年のころは幼稚園時代のやつらが、わたしのことをウンコマンと呼び、それはまたたく間に同じクラスのみんなに知れ渡ってしまった。

あのころ、小学校にかようことほど苦痛だったものはないほど、クラスのみんなと会うことが嫌だった。

それでも、小学校低学年時代の影は年を追うごとに風化をしていき、わたし自身も幼稚園のころ人前でおもらしをしたという傷は癒えていき、正直こうして昔を思い返すまで忘れていた。

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