Death File
登校拒否をするようになってから、親の人たちはわたしに対し最初は酷く怒ったものだったが、わたしが瞳に涙をためてかぶりを振ることでなにかを悟ったのか、無理やりわたしを登校させるということはなかった。

わたしはあの強姦事件を親の人たちに対して話すことはなかった。

もしかすると、強姦事件を話していたら今のわたしの人生は少しだけ異なっていたのかもしれないけれど、わたしは強姦という恥辱を決して口にすることはなかった。

学校に登校しなくなってからも、わたしは部屋で独学だったけれど勉強をした。

勉強だけはしておかないと世の中で生きていけないと考えたからだった。

ときどき学校から担任の先生とかが家に来たことがあったみたいだったけれど、わたしは学校の先生とは会わなかった。

いじめを黙認するような先生を信用することがどうしてもできなかったからだ。

ほとんど引き籠り生活をしていたけれど、それでもわたしはいちおう独学で勉強をして、通信制の高校に進学するようになった。

高校卒業という単位を取得するためだ。

それ以外は部屋に籠り、パソコンだけがわたしの友達だった。

パソコンはわたしにさまざまな情報をもたらしてくれた。

映画なども観ることができたため、部屋にいながらわたしはさまざまな情報を取りこんでいった。

パソコンは父の人が勉強をするためにとわたしに買い与えてくれたものだった。

家にいてもパソコンを介してDVDをレンタルできるので、わたしは父の人に頼んで1ヶ月に4枚までレンタルできるサービスに加入してもらうことにした。

このサービスでわたしは映画を観たので、パソコンで新作映画がレンタルされるのをいつも心待ちにしていた。

いわば、引き籠り生活の唯一の楽しみなのであった。

ただ、引き籠り生活といっても、まったく家から出ないというわけではなかった。

いちおう、DVDレンタルサービスにて家に配送されたDVDをポストに投函して返品をしなくてはならないため、わたしは近所のポストまで出かけて行った。

それ以外にもコンビニでお菓子を買ったり、母の人に頼まれて近くのスーパーにまで買い物の代わりを務めたこともあった。

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