Death File
そういったわけで、引き籠りといっても案外家の外に出たことになる。

しかし、日中のほとんどは部屋に籠って独学で勉強をしていたのは事実である。

わたしにとって勉強をしないと馬鹿になってしまい、馬鹿になると世の中の誰からも相手にされないという思いだったため、勉強だけは独学だったけれど、毎日欠かさずおこなっていた。

通信制の高校を卒業してからは、就職するとでもなく、ただ部屋でべつの勉強をしていた。

勉強の内容は独学だったけれど、簿記と宅地建物取引主任者という通信教育を受けていた。

親の人たちはそんなわたしにアルバイトでもいいから早く社会に慣れてほしいと思っていたようだったが、わたし自身、一般の人が大学に進学するようなものだと思っていた。

そんなことから、わたしはあいかわらず部屋に籠るという生活を続けていたのだが、19歳になったころだったと思うが、DVDレンタルサービスでなんの因果か知らないが、『Death File』というDVDをレンタルしてしまった。

その内容は強烈で人間の死体ばかりを集めたDVDだった。

銃で撃たれた死体。

病気で死亡した死体。

ホルマリン漬けにされて白くなった死体。

戦場で爆死したのかグチャグチャになった死体。

これらの死体を見るとなぜか子宮の奥深くがジンと熱くなるのを感じた。
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