加納欄の心 シリーズ19
な、なんなのよ。


なんなのよ!!


なんで、あんな態度取られないといけないのよ!


知らない女の肩に手をかけたら、嫌に決まってるでしょ!!!


あたしは、大山先輩を見ると、悲しくなった。

「先輩?」

優しく問い掛ける。

「……」

「大山先輩?起きてます?」

「……」

「仁、先、輩……」

あたしは、顔を赤くしながら、言い慣れない言葉を使ってみた。

「うぁ?」

寝ぼけ眼で、返事が返ってきた。


ドキッ!


「か、帰りましょうか」

あたしは、大山先輩のコートを慌てて掴むと、大山先輩の肩にかけた。

自分の力じゃ立てないほど酔っている大山先輩を見て、あたしはさっき言われた言葉を思い出していた。


”必死になっちゃって”


「大山先輩?私、必死に、見えますか?なんで……一緒に飲んでるのに、声をかけるんですか?私、オモイですか?」


アタシハ。


オオヤマセンパイノ。


ナニ?


…………モォ、イイヤ。


ツカレタ…………。


アタシバカリ。


ヒッシニナッテル。


オオヤマセンパイハ。


ダレデモ。


スキニナレルンダネ。


アタシノ、オモイハ。


イッポウツウコウダ。


「大山先輩?起きてます?」

「……なんだよ」

大山先輩は、目をつぶって、またテーブルにつぶれてしまった。

「1度しか、言いませんよ」

「…………」

「私、大山先輩のこと、大好きでしたけど、やめました」

「…………」

「大山先輩のこと、今から、好きでいるの、やめますね。これからは、尊敬する先輩として、一緒に行動します」

「…………」

「先輩?聞いてます?」

あたしは、そういうと、寝ている大山先輩の頬に、軽くキスをし、大山先輩を残してお店を後にした。



−おわり−



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