60年後のラブレター
第一章 手紙
僕が小学校6年生の時、好きな女の子がいた。
そう、これが初恋だった。しかし奥手な僕が彼女に伝えることができなかった。
それならばと、僕はラブレターを書いた。ラブレターなど書いたことがない僕は、学校の図書室で調べた。
普段は、皆でサッカーをしている昼休憩を有効利用した。なぜなら、皆外に遊びに行くので、図書室には人がほとんどいないため、僕にとっては都合がよかった。そして、とうとうラブレターが完成した。
ただ、素直に僕の気持ちを書いた。僕がどれだけ好きなのか、なぜ、好きなのかを書いたんだ。しかし、書いたのはいいが渡せなかった。そう、僕には渡す勇気がなかった。そして渡すことができないまま卒業式を迎えることになった。そして、卒業の記念に皆でカプセルを埋めることになりました。
僕は、ラブレターを埋めることにした。僕の気持ちと同じく地中に閉じ込めた。
そして、月日は経ち、60年後、小学校が、取り壊されることになったのを僕は耳にした。
僕、いやわしの年もすでに、72歳、同級生の何人かはこの世にいないだろう。初恋の人も生きているかはわからない。ガキ大将の友達もどうなっているかわからない。
なぜなら、僕は、高校を卒業してから、大学のため地元を飛び出した。そして大学卒業後も地元では就職しなかった。27歳の時僕は結婚した。しかし、初恋の相手ではなく、コンビニで働いていた女性であった。
僕の勤めていた会社の近くで、お昼のお弁当を買いに行っていたのが始まりだった。
そう、初めて出会ったのは今でも覚えているそう、あれは25歳の時のことだった。おっとその前に話したいことがあるんだ。
実は、僕は24歳の時一度会社を辞めたんだ。まぁ、今だから言えるけど、人間関係でね。いやな先輩がいてさ、人間のクズともいえる人が。そういう人間のいる会社には未来がないと思い僕は辞めたんだ。
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