G i f t ~ギフト~
彼が店の扉を開き背中を押された私は店外へ出た。


後ろを振り返って彼を見るとにかっと笑ってて、そのまま扉を閉められた。


『ったくも~。意味が分からんわ!』


ぶつくさ言いながら周囲を見渡すと店の壁に寄りかかって煙草を吸ってるムサシを見つけた。


ムサシも私に気付いて片手を頭まで上げた。


取り合えずムサシの元へ歩み寄った私。


『・・・さ、寒くない?』


「ん。寒いよ?体も心も」


・・・返す言葉が見付かりません。


何を話していいのか分からず俯いてるとムサシが話始めた。


「しかし・・・してやられた!」


『へ??』


ムサシの言葉にビックリして勢い良く顔をあげてムサシを見た。


「吹雪ちゃん全然変わんないし。しかも昔のままで制服着てるしさぁ・・・」


『・・・衣装が、強制で・・制服で、その・・・』


正直何じゃべってるか自分でも分からなかった。


「はははっ。意味わかんね」


ムサシは笑ってたけど、何だか切ない表情にも取れた。


『何か・・・辛い事でもあった?さっきから・・・・・・悲しそうだけど?』


聞いちゃダメだと思ったけど、会話が見当たらなくて・・・


ムサシは吸ってた煙草を地面に落として靴で踏み潰して私を見た。


「鈍さも変わらないのか?」


はい?鈍いって何よ!


単細胞って言われるわ。鈍いって言われるわ・・・がくっ。
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