G i f t ~ギフト~
あいつに報告
「2人で来るの久し振りだね」


『うん。うちはつい最近来たけどね』


「え??」


まだ記憶に新しいこの砂利道。


此間、私が不安で・・・押し潰されそうで助けを求めた兄貴の墓。


今日は彼と2人で報告にやって来た。


『うちね。樹に会ったよ。声も聞いた。いつもの樹に気張れって励ましてもらっちゃった!』


あの時の不思議な体験を思い出してなんだか笑みが零れた。


「そっかぁ!俺も会いたいなぁ。樹の憎まれ口聞きたいなぁ・・・」


彼は空を見上げながら言った。


兄貴の墓に着くと私が此間置いて行った缶ビールが2本、そのままになってた。


『・・・中身、カラなんだけど?』


缶を振ってみるとチャポチャポと音も鳴らない。


完全にからっぽ。


「蒸発したとか?」


『え?最近雨降ったのにぃ??』


しかも2本ともからっぽ・・・


「・・・・・・・?樹が飲んだとか?」


『う・・・ありえる』


彼と顔を見合わせて「あははっ!」って笑った。


『今日はちゃんと花買って来たからね!』


返事の無い兄貴に話し掛けながら花を墓の花口に差し込んだ。


彼は端の方で新聞紙を燃やし線香に火を点けてる。


「あちちぃ・・・ほれ」


線香を振りながら火を消し私に半分よこす彼。


受け取った線香を墓に添える。


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