G i f t ~ギフト~
「お前が帰るまで俺も帰れんだろ?こんな夜に女置いてくアホがどこにおんねん!」


『大丈夫だって。幽霊以外なら相手じゃないから』


良く周りを見れば誰も居ない海。暗い海。何だか・・・海から誰かが出てきそうな雰囲気・・・。


(そう考えるから怖くなるんだよなぁ)


「じゃ・・・俺、帰っちゃうよ?いいの?」と私の顔を覗きこんで聞いてくる彼。


『いいよ。もう、さっさと帰れ!』と手をヒラヒラさせて彼を追っ払う私。


彼がゆっくり腰を上げて砂浜を『ザクッサッ』と音を立てて闇に消えていく。


私の中では彼は無理やりにでも連れて帰ってくれるなんて淡い期待をしてたのに。


簡単に帰ってしまった彼。


なんだか取り残された気分で不安と恐怖が押し寄せてくる。


(帰れって帰したの自分じゃん・・・)


素直になるって難しいね。


本当は彼が来てくれて嬉しかった。


一緒に帰りたかった。


全部気持ちとは反対の事をしてる私。


(ほんと。可愛くない女・・・)


「まだ、帰んないのぉ??」と遠くから聞こえる彼の声に気付いて後ろを振り返った私。


砂浜に下りる前に私が座ってた高台の石の塀に座ってる彼。


暗いはずなのにその姿がハッキリ見えた。


私は腰を上げ彼の元へ歩いた。
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