G i f t ~ギフト~
リングへの想い
「コレ。バレンタインのお返しな」


私が17歳の時。彼からホワイトデーに白い小さな箱を貰ったの。


「俺の気持ちだから」って照れながら私に手渡してくれた小さな箱。


『物なんか要らないって言ったのに・・・』


「だから・・・気持ち。物じゃないよ」


『もしかして・・・こんな小さな箱にキャンディー1つ入ってるとか?』なんて冗談交えて箱を開けたの。


箱の中には凝ったデザインのシルバーのリング。真ん中にダイヤみたいな石が嵌め込まれてて凄く綺麗なリング。


彼が箱からリングを取り出し私の左手薬指に嵌めようとしたんだけど「やっぱりこっちは取って置くか」なんて言って右手薬指に嵌めてくれたの。


この時はこのリングがどれだけ高価な物か想像も出来なかった。


真ん中のダイヤみたいな石もダイヤじゃないって思ってたし。


彼は「0・08㌌のダイヤだよ」なんて言ってたけど。


18歳の彼がそんな高価なものをくれるなんて思ってもみなかったから。


『そういう事にしておくよ』なんて可愛くない事を言った17歳の私。


その1年後、私は彼を手放したけど。このリングだけは手放さなかった。


肌身離さず・・・今から2年前まで、ずっと着けてたの。


彼がくれたリングは初めはユルユルで次の日彼とリングを買ったショップにリングを詰めに行ったんだ。


「9号買ったのになぁ・・・どんだけ細いんだよ」なんて少々文句言われながら・・・。


結局8号に詰めてもらってピッタリ収まってたんだけど。


当時ピッタリだったリングはまたユルユルになっちゃってお風呂や洗い物の度に抜け落ちちゃうから2年前から外して閉まってたの。


でも・・・今から5年くらい前かなぁ・・・。


彼の愛の深さ、想い、すべて解った時があったんだ。






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