G i f t ~ギフト~
当時24歳の私は仕事人間で『たまには自分にご褒美でも買おうかなぁ』なんて思って駅前のデパートのジュエリーショップでショーケースとにらめっこしてたら偶然、彼から貰った物と同じリングを見つけたの。


指に嵌めてたリングとショーケースのリングを見比べてたら、少し年配の店員さんに話しかけられた私。


「あら?同じ物をお着けですね。デザインが素敵ですよね」なんて声を掛けられて私も『そうですね。昔、彼に頂いたんです』と返したの。


そしたら店員さんは私の顔をマジマジと見て「もしかしてこの指輪を詰めに彼氏さんと来た事ありませんか?」と聞かれて、ショップの看板を見上げたら、以前彼と来たショップだったの。


『ありました~』なんて自然に笑みがこぼれてきた私。


彼がリングを選んでる時もその店員さんが一緒に見てたらしく「彼氏さん、凄く悩んでたよ。1時間ぐらいずっと離れないで(う~ん・う~ん)って言いながら選んでましたよ」なんて言われて・・・。


6年ぐらい前なのに店員さんも良く覚えてるなぁと関心しながら話を聞いてたの。


「予算オーバーだなんて言ってこの指輪を買われて行ったんですよ」


店員さんにそんな事言われて・・・リングの値段を見てみると。


『1・・・10・・・100・・・1000・・・10000・・・・・・え??こんなにするんですか?』と驚きで店員さんに聞いてしまった私。


明らかに18歳の彼が買える金額じゃない。


例え働いていたとしても躊躇する金額だ。


だって・・・真ん中の石は本物のダイヤモンドだったんだから・・・。


「未だに嵌めてらっしゃるって事はお付き合いは続いてるんですね」なんて笑顔で店員さんに言われて『ははっ』と苦笑いでしか返せなくて。


その日は『また来ますね』なんて言ってショップを後にしたけど。


デパートを出ると北風が凄く冷たくて、羽織ってたコートの襟を立てて首元を片手で押さえて北風に逆らって歩いた。


彼が私を『愛してた証』が風でさらわれない様にキツク握りしめて・・・。


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