G i f t ~ギフト~
念入りにメイクも済ませる。


『・・・アイライン入れすぎかも・・・』


鏡に映る自分は自分じゃなかった。


遥かに・・・女に変身していた。


ちょっと笑顔の練習もしてみる。


『にっ』


(・・・。気持ち悪いかも・・・)


ふと部屋の時計に目をやると待ち合わせの時間まで1時間を切っていた。


『ヤバイなぁ・・・』


スタンドミラーに全身を映しオカシイ所がないか自分なりにチェックする。


お気に入りのピアスを着け、昔、彼に貰った指輪をはめてリップを塗る。


黒皮の小さめの鞄に持ち物を移し変え出掛ける準備は整った。


『あ。忘れてた・・・』


私と彼の匂い。


香水の『SAMOURAI』


軽く吹きかけ今度こそ準備は整った。


玄関に急ぎ靴とにらめっこ。


お気に入りのリボンが着いてる黒のブーツを探す。


急いでる時に限って欲しいものは奥にあるもの。


奥からブーツを取り出し履き整える。


『うん。いいんじゃない!』


自分のコーデに満足して玄関を出ようとドアノブに手をかける。


ブーツを取り出すのに犠牲になった私の靴を踏みながら・・・。


(片付けは帰ってからだなぁ・・・)


溜め息混じりに外へ出て鍵を閉め彼が待つ待ち合わせ場所へ急いだ。

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