G i f t ~ギフト~
「ほんまに?吹雪ちゃんやってくれるん?」


包丁を私に向けて涙目で言ってくるお母さん。


そんなお母さんに皆手を上げて降伏(笑)


私も両手をあげて『やる。やるから・・・包丁置いてね?』


「あぁ・・・ごめんなさいね。つい興奮して」


ぺロっと舌を出して可愛く見せてるお母さん。


すいませんが・・・今のは可愛くない!!余計怖いわ。


お母さんとチェンジして私がカツオの終止符を打つ。


手際よく頭を切り落とし3枚に下ろす。


もったいないから頭はアラ汁として鍋にブッコンで。


アラは身が少し付いてるから甘めの煮汁を作って煮付けに。


半身は刺身。


半身はタタキ。


タタキ様のドレッシングも冷蔵庫にあるものでパッと作った。


そんな私を台所の椅子に腰掛けて見てるお母さんと彼。


「吹雪ちゃん。いつになったら嫁に来てくれるん?」


カチャンッ


背後からお母さんに話し掛けられて、ドレッシング作りで使ってたスプーンをシンクに落としてしまった私。


『何?急に?ビックリするわ~』


「かぁちゃん。黙ってなって」


すかさずお母さんの言葉を止める彼。


「だってなぁ・・・もう10年以上待ってるんで?おばさん待てんで死んでしまうわ」


『はははっ・・・』



< 83 / 161 >

この作品をシェア

pagetop