オレんちの兄さん2
………………。
「はぁ!?」
なんでそんな話になってんだよ!?
いや、兄さんが唐突に変なことを言い出すのにはもう慣れたけど……
いくらなんでも、飛躍し過ぎだろ。
「アサヒ……酷いじゃないか、俺を差し置いて彼女を作るなんて」
兄さんは捨てられた猫のような目でオレを見つめている。
にしても差し置いて……って。
(……アンタは俺の何なんだ)
そんなことを思いながらも、子供みたいな兄さんの反応が面白くて。
少し、意地悪してみることにした。
「……いたら悪いかよ」
口を尖らせてそう呟き、チラリと様子を伺うと、
「いや、悪くはないけど…でも…」
と、珍しくハッキリしない返事が返ってきた。
「なんだよ、ハッキリしろよ」
何か言いたげだけど、なかなか口に出そうとしない兄さんに、
オレは笑いを必死で堪えながら苛ついているフリをする。
そして、数秒後、ようやく兄さんが口を開いた。
「……彼女ができたら、アサヒは俺の相手してくれなくなっちゃうだろ。
せっかく夏休みはアサヒと沢山遊べると思ったのに……
アサヒがいないと俺、寂しくて死んじゃうかも」
顎をテーブルに乗せて、ふてくされたような顔をしている兄さん。
しかも、ここから見ると上目遣いにしか見えない。
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