オレんちの兄さん2
兄さんは、めちゃめちゃモテる。
オレのクラスの女子でも、兄さんのことを知らない奴はいない。
それくらい、巷では有名な兄さんなのに…
女の人との噂は、全く聞いたことがない。
もちろん、本人がそんな話をしてきたこともない。
現に今だって……
「ん?何がだ?」
オレの頭から手を離して、首を傾げている。
何がって……
この状況で聞くことなんて一つしかないだろ!!
「……なんでもない」
「?」
なんか、こんなやりとりが最初の方にもあったような……。
「楽しみだな、アサヒ♪」
オレの誕生日なのに、オレより嬉しそうな様子の兄さん。
こんな風にハシャぐ兄さんを知ってる人は、オレ以外にどれくらいいるんだろうか。
そんなことを思いながら、オレは再び広げたままの情報誌に視線を戻した。
――――――――………
その後。
どんなものが食べたいかなんかを話して、今年のオレの誕生日プレゼントが決まった。
因みに去年までだと、
「プレゼント楽しみにしてろよ。
アサヒがうんと喜ぶもの選ぶからな」
と、あの後に続くのだ。
いつもは冗談なのか本気なのかわからないボケッぷりを見せてくれる兄さんだけど、
オレの誕生日プレゼントに関してだけは例外で、毎年センスの光るものを選んでくれる。
そのプレゼントが毎年楽しみだったし、今年も密かに楽しみではあったけど、
欲しい物を聞いてくれたことに殊の外喜んでいる自分がいた。
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