オレんちの兄さん2
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家に帰るとすぐに、制服からハーパン、Tシャツと楽な格好に着替えて、オレは台所に立った。
ジャガイモ、ニンジン、タマネギを流し台に置き、冷蔵庫から牛肉を取り出す。
ジャガイモの皮を丁寧に剥き少し大きめに切って、水にさらす。
ニンジンは逆に少し小さめ。
最後にタマネギ。
皮を剥いて半分にし、縦横に包丁を入れる。
それをザクザク切って微塵切りにしていると、ポロポロと涙が落ちた。
ポロポロポロポロ。
拭おうにも両手が塞がっていて拭えない。
結局刻み終えるまで泣きっぱなしで、終わる頃には鼻水まで垂れてくる始末。
オレは、フードプロセッサーが欲しいと切実に思った。
それから夕食を終え、オレはクッションを抱えて一人テレビを見ていた。
――――今日はカレーにした。
量も多めに作ったから、明日の昼もカレーだ。
明日の夜は兄さんと食事に行く日。
今夜と明日の夜とは単純なものをサラッと食べて、夜の贅沢を楽しもうという密かな計画だった。
……だけど。
「ただいまー」
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