オレんちの兄さん2
兄さんが、帰ってきた。
「……おかえり」
オレはテレビに目を向けたまま、ボソリと呟く。
兄さんは着ていた上着をソファーに放り投げて、手を洗うより先に台所へ向かった。
「お、今夜はカレーか。
アサヒのカレーは俺の好物のベストスリーに入るからな」
チラリと台所を見ると、嬉しそうな顔で鍋を覗く兄さんが視界に入った。
「さぁ、早速食べ「兄さん」
「ん?」
兄さんの言葉を遮って、オレは続けた。
「オレ、誕生日プレゼント変えるよ」
「え?」
まるで状況を飲み込めていない兄さんが、慌てて台所から戻ってくる。
そんな兄さんの目を見ることなく、オレは単調な声で話し続ける。
「フードプロセッサー買って」
「アサヒ?」
「わかんない?
タマネギを一瞬で微塵切りにできちゃうヤツ」
「いや、それはわかるけど……」
「あ、わかる?
じゃあそれお願い。
だから食事キャンセルね」
「そんなの気にするなよ。
食事は食事で行けば良いじゃ……」
「プレゼント二つもいらないから!」
「?どうしたんだよ、アサヒ」
「別に!!
とにかく食事はキャンセル!!
オレ風呂入ってくる!!」
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