オレんちの兄さん2



しかも、あの時間にあそこにいて今頃帰宅って?


デート?

アフターファイブのデートってわけ?


だったら飯食ってきたんだろ。


「アサヒのカレーは俺の好物のベストスリー」なんてめんどくせぇこと言わずに、「外で食べてきた」って言ったら良いじゃねぇか。






オレへの誕生日プレゼントも、きっとあの人のアドバイスなんだ。

「欲しいものを聞いてみたら良いんじゃない?」とか言われたに決まってる。

じゃなきゃ毎年毎年毎年毎年毎年毎年毎っ年言ってるセリフをあの兄さんが変えるワケない。




唇を噛みしめながら、オレはあの日のことを思い出していた。




『フフ、なんか嬉しそうだな、アサヒ』

『当たり前だろ!だって……』

『………だって?』

『!!……な、なんでもない』

『???』




……嬉しいに決まってんだろ。


今まで外食なんて、家族四人でしか行ったことがなかったから。

兄さんと二人で外食なんて、生まれて初めてなんだから。

だから、両親の前では話せないようなことだって、いろいろ話せると思ってたのに。




―――――それに。




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