オレんちの兄さん2
胸がキューッと締め付けられて痛くて、目頭がやけに熱くて。
頭からシャワーを被りながら、渦巻く感情を睨みつけるようにオレは目を見開いていた。
「アサヒ」
シャワーの音の隙間を縫うように聞こえてきたのは兄さんの声。
浴室の扉へ目を向けると、兄さんのシルエットが映っている。
返事をせずにそのシルエットを睨みつけていると、
「アサヒ?大丈夫か?」
また届いた心配そうな兄さんの声。
「大丈夫だよ!!」
返事をした荒い声が浴室内にグヮンと響いたが、その声はシャワーに押し潰されてすぐに静かになる。
「何怒ってるんだ、アサヒ。
帰りが少し遅くなるのは今朝言っただろ?」
兄さんの言葉に、全身の血液がまるで逆流したかのように頭の中がカッとし、
「ウルセーよ!!
アンタが遅かろうが早かろうが関係ねぇし!!
つか、アンタのプライベートにオレ干渉するつもりねぇから!!」
オレは扉の向こうの兄さんに、吐き捨てるようにそう言った。
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