オレんちの兄さん2



「はぁ〜。
 ゆっくり風呂に入るって良いなぁ」


歌い出しそうなほど上機嫌な兄さん。

湯船に張られているお湯から少しだけ覗く白い肌は、同性のオレから見ても扇情的だ。


そういえば今日見かけた……

マドカさん、だっけ?

その人も、兄さんと同じくらい色白だったな。

まぁあの美人なマドカさんでも、兄さんの美貌には全然敵わないけど!!




(って、何考えてんだよオレ!)


人の奥さんと自分の兄貴比べるとかおかしいだろ!

……おかしいと言えば、心なしか目眩がするような気も。


「?アサヒ、大丈夫か?
 顔赤くなってるけど……
 先に上がるか?」


兄さんに言われて、やっぱり、と思う。

こんなに長く湯船に浸かること、滅多にないからな。


「……大丈夫だよ(多分…)」


そう返事をしたもののオレはのぼせる寸前で、一刻も早く風呂から飛び出したかった。

だけど、どうしても立ち上がることができない。

だって……




今オレが「先に上がる」って言って立ち上がると、座ってる兄さんの目の前に……

ホント目の真ん中に、オレの、オレの、オレ、の―――――……






ぶくぶくぶくぶく……




「アサヒ大丈夫かぁ!?」




遠くに兄さんの声が聞こえたところで意識は途切れ、目を覚ました時、
オレはしっかりパジャマを着せられてベッドの上に、いた。




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