オレんちの兄さん2
「ホントにそんなんで良いのか?
食事は普段でも行けるし……
遠慮しなくてもいいんだぞ?」
不安げな表情を浮かべてオレの顔を覗き込む兄さん。
「そんなんじゃないよ。
行きたいと思ったから言っただけ」
オレの言葉に兄さんはニッコリ笑い、立ち上がったと思うとどこからか大量の情報誌を持ってきた。
「さてと。どこが良いかなー」
美味しそうな食事の写真を前に、オレは目を輝かせた。
兄さんに至っては、鼻歌を口ずさんでいる。
「兄さん、ここなんてどうかな?
美味しそうだと思わない?」
「フフ、なんか嬉しそうだな、アサヒ」
「当たり前だろ!だって……」
「………だって?」
「!!……な、なんでもない」
「???」
オレは兄さんから視線を逸らして、目の前の情報誌に意識を集中させる。
食い入るように写真を見つめるオレの隣で、兄さんが微笑んでいるのがわかる。
「お前の誕生日なんだし、お前が行きたいところで良いんだからな。
ほら、例えばこーゆーのでも」
兄さんが指さしたのは、本格的な中華料理のお店。
……味を想像しただけで、涎が出そうだ。
.