オレんちの兄さん2



「ごめんな……気づいてやれなくて」


ムギュッ。




「ちょ、兄さん、苦し……!」


必死で腕をジタバタさせるが、兄さんは強い力でオレの頭を抱きしめて離さない。

振り絞った声も兄さんの胸板で跳ね返って、くぐもった呻き声にしかならない。


「毎日一緒にいるのに気づけないなんて……
 俺、どうかしてるよな」


いやいや、どうかしてるのは今現在の兄さんの行動だから!


マジでヤバいよこれ……。

このまま窒息死とか大いに有り得る。


明日の地域新聞の見出しに、


【14歳の少年、兄に抱き締められ窒息死】


とか……絶対嫌だ。




「よしっ、決めた!!」

「プハッ」


兄さんがやっと解放してくれて、オレは大きく息を吸い込んだ。

肺に大量の酸素が流れ込んできて、危うくむせそうになる。


―――――――と、同時に。




ガシッ。




「今年の夏休みは、毎日外食にしようっ!」


「う……っ!?ゴホッゴホッ」




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