LLE <短>
prologue
白と黒のボールを砂埃の中で追いかける、真剣な瞳をした先輩が
どんな憂鬱も吹き飛ばしてくれそうな、屈託のない真っ直ぐな笑顔が
いつだって、みんなの中心で太陽みたいに立ってる、眩しい先輩の姿が……
スキで
スキで
ダイスキで。
とにかく、どうしようにないくらいに
スキすぎて。
あたしは、先輩を追いかけた。
――ただ、ひたすらに。
呼吸をするという、単純作業も
瞬きをしなくちゃいけないっていう当然のことさえも、忘れてしまうくらいに
――愛しくて、愛しくて仕方のない人。
最初で最後の恋だって。
そう、信じて疑うことなく
確かな心を握り締めて……
あたしは、先輩だけを見つめ続けた。
そうやって時を過ごして、ぐるりと一周。
先輩だけの色に染まった季節を駆け抜けて迎えた、
2年目の春――