LLE <短>



ぼんやりと過ごしていたら、いつのまにか訪れていた新しい季節。

先輩と出逢ってから迎えた、3つ目の季節。



あたしたちを取り囲むいろんなものが、その姿を変え始める、秋。



まだまだ、夏の残り香漂う毎日に、多少の鬱陶しさを感じていた……


と思ったら、たちまち風の温度が変わって、肌寒くなった。

気付けば、辺りは一面に色を変えていた。



あの夏、照りつける太陽と一緒に、瞼に刻み込まれた、二人の残像が、

ひらひらと穏やかな風に揺れる、真っ赤な木々の葉と重なって、胸が痛んだ。



もう、散々味わった痛みなんだから、いい加減、慣れてしまってもいいはずなのに。


それなのに、いつまでも、痛みは痛みのままだった。



傍にいられないのなら、

息苦しさしかもらえないのなら……


こんな想い、消え去ってしまえばいいのに。

こんなにも、やり切れない想いなんて、忘れてしまえたらいいのに。



と、愁いてみても、そんなに容易く、キモチはコントロールできるわけもない。



手軽く見つけたキモチだったのに。


恋ってヤツは、簡単には捨てさせてくれない、厄介な想いだと知る。

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