LLE <短>
「今日のお前、なんか変だぞ」
「そんなこと……ないよ」
「だって、いっつもウルサイくらいに一人で喋ってるじゃん。なのに今日は、やけにおとなしいし」
気付いちゃうんだ。
あたしが、いつもと違うってことに。
「……なんでもないよ」
普段は、あたしのキモチなんて、全然気付かないクセに。
鈍感な先輩なのに。
やっぱり先輩は、残酷な人だ。
「ねぇ、先輩」
「ん?」
「先輩は、どうしてあたしと付き合ってくれてるの?」
「……え?」
不意打ちの質問に、一瞬動きを止めた後、先輩はクスリと小さく笑って続ける。
「そうだなぁ……お前の毎度の告白に、負けたからじゃね?」
「それだけ?」
「お前のアタックを交わすのにも、もう疲れたし」
先輩は、そう言ってイタズラに笑う。
「ねぇ、先輩」
「今度はなんだよ」
もうスッカリ口癖のようになってしまった“先輩”っていう呼びかけに、先輩はまた笑う。
先輩が、あたしのことをちっとも呼んでくれないから。
いつだって、あたしが呼ぶしかないんだ。
「先輩。先輩は、あたしのこと……スキ?」