LLE <短>
「相変わらずナカヨシだねぇ。お前たち」
「ハイッ!」
いつのまにやら、先輩の友達とも、スッカリ顔馴染みになってるあたし。
面白がって茶化してくる周りに、ただの冗談の冷やかしだってわかっていながら、
それでも、先輩の友達に知ってもらえてるっていう事実が、嬉しくてたまらなくて、あたしは勢いよく返事を返す。
だって、先輩の世界に入ってるって気分になれるから。
「どこがだよ!」
「イテッ」
そんなあたしを、先輩は、テンポのいいツッコミと共に、
あたしに占拠されていないもう片方の手で、あたしの頭をコツく。
「うわぁ。コウく~ん。暴力はいけないよー」
「ウッサイ。ったく……お前らがそんなことばっか言うから、コイツが調子に乗るんだよ」
「エヘヘヘヘ~」
「エヘヘヘヘ~……じゃねぇ。お前もコイツらの言うことにイチイチ喜ぶな!」
再び落ちてくる、先輩の拳と怒声。
でも、全然痛くないし。
コワくもないし。
相変わらず、あたしの頬は緩みっぱなし。
あたしは今日もシアワセだ。
先輩の傍にいられることが。
先輩に触れられていることが。
先輩の声が、あたしに向いてくれてることが。
とにもかくにも、もう先輩がそこにいるっていう現実が――
あたしの世界は、今日も先輩中心で回ってる。