LLE <短>
でもね、先輩。
今のあたしには、コレが精一杯なんだよ。
これ以上おっきなキモチは、もうあたしの心には溢れちゃって入んないと思うんだ。
あたしは、先輩のことがただスキで。
ダイスキで。
あたしには、先輩しかいなくて……
だからこそ、このままじゃいられなかった。
先輩が、あたしを見てくれないのが、どうしようもなく苦しくて。
傍にいる。
ただそれだけじゃ、ズキズキと疼く心が、どうしようもなくなるんだ。
……先輩。
いつもでも、一方通行のまんまじゃ、イタイよ――
先輩の想いが、どんなカタチであったとしても、それで構わない。
……なんて、あれだけ自信があったはずなのにね。
そんな風に思い続けられるほど、あたしは強くはなかったみたい。
「バイバイ、先輩」
あたしは、自転車にまたがると、先輩に背を向けて、ペダルをこぎ出した。
……必死に。
先輩が追いかけてきてくれるなんて、淡い期待を抱かないように。
立ち止まったら、後悔の心に押し潰されそうだったから。
あたしは、襲いかかってくる、たくさんの想いを振り切るように、ひたすら走り続けた。
それでも、後悔の石ころは、走る道のそこら中に、先回りして転がっていて、
全力疾走したって、結局、躓いて転んでしまいそうだった。
先輩……
やっぱり、スキだよ――