LLE <短>


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あんなに心地よかった先輩の腕を、自分の意思で振りほどいた日から、

一週間が過ぎて、知らない間に、二週間が過ぎて……


先輩で溢れかえっていた毎日の色が変わってから、気付けば、一ヶ月近い月日が過ぎ去っていた。



空から降り注ぐ日差しが、少しずつ力強くなり始めた、夏先。



先輩が、あたしの日常から、スッポリ抜け落ちちゃった毎日も、

案外、なんとかなるものなんだって、知る。



どっかの誰かが一人消えたって、世界は何も変わらないで、ここに在るんだろうけど、

先輩一人がいなくなっちゃったら、あたしの世界は変わってしまう……


なんて思っていたのに。



いつだって、時間は流れる。

あたしのキモチなんて、まるで知らんぷりで。



時間の流れは、あたしの心の傷を癒してくれてるのかな?

そもそも、あたしの心には、あの日、どんな傷がついたんだろう?



後退しているのか。

停滞しているのか……


あたしは、自分の心の中と向き合うことすら避けていたから、

消費していく時間の上で、前に進むこともせず、ただ浮かんでいるだけだった。



それでも、些細なキッカケひとつで、またいつでも動き出しそうな心がコワくて、

あたしは、先輩から目を逸らし続けた。


廊下で偶然、先輩の姿を見かけては、隠れて。

すれ違っても、俯いて……

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