LLE <短>
「だいたい、一体なんなんだよ。お前は突然、毎日毎日……」
「……」
「ん、どうした?……って、うわっ!」
首を傾けて、あたしを覗き込もうとした先輩の体が、大きく仰け反る。
自ら巻きついていた先輩の腕を、ドンと一押しして跳ねのけ、あたしは先輩を睨んだ。
「突然じゃないもーん!それに、あたしの名前はハルナ!いい加減呼んでくださいよー」
「イ・ヤだね。なんでもかんでも、お前の言いなりになってたまるかよ」
「ぶぅ……」
先輩は、自信に満ち溢れた顔で、あたしの言葉を一蹴する。
あたしは、何も言えずに、頬を膨らますしかなかった。
結局あたしに、言い返すことはできない。
だって所詮、恋の矢印は、あたしから先輩にしか向いていないんだから。
惚れた方が負けってヤツだ。
でも、違うよ先輩。
別に先輩ばっかりあたしの言いなりになってるわけじゃないよ。
先輩が言うなら、あたしはどんなことだって言いなりになるよ。
地球の裏側に行って、ツチノコ掴まえてこいって言われたら、虫取りアミ持って探しに行くし、
魔法のじゅうたんに乗りたいって言ったら、あたしは地球の果てまで探しにいくよ。
それくらい、あたしは本気だよ。
だけど、先輩が、あたしに何も言ってくれないからいけないんじゃん。