LLE <短>



「……先輩」



胸の中から、くぐもった声で、先輩に呼びかける。



「ん?」



胸の中で聞く先輩の声は、どんな時よりも、優しい声をしていた。

その声に調子に乗ったあたしは、欲しくてたまらない言葉を、先輩にねだる。



「スキって、もっかい言って」

「……スキ」



素直に答えてくれる先輩に、もっと調子に乗るあたし。



「もっかい」

「もう言わない」

「……ねぇ、先輩」

「何?」

「お願い……」

「……ヤダ」

「先輩」

「なんだよ」

「あたしはスキだよ」

「知ってるって」

「先輩……」

「だから、なんだよ」

「鼻水ついた」

「――ゲッ!?」



先輩。

――ダイスキだよ。


< 45 / 51 >

この作品をシェア

pagetop