LLE <短>



「ねぇ先輩。知ってる?」

「何を?」

「あの時あたしがチャンスをチャレンジに変えたから、今あたしたちは一緒にいるんだよ」

「は?意味わかんねぇ。ってか、それよりお前さ……」

「……何?」



先輩が言いにくそうに口ごもる時は、大抵あたしがもっとシアワセになる予感だ。



「いい加減、その呼び方やめない?」

「え?」

「その“先輩”って呼び方やめろよ」

「へ!?」



先輩……

それって――



「早く」



先輩は、何かを企んでいるような、怪しい笑みを浮かべて、あたしを急かす。



「……コウ?」



あたしは、頭をひっこめながら、目だけで先輩を見て、疑問系になった先輩の名前を呼んでみた。


なんだろう……

……すごく、照れる。



「なんで疑問系なんだよ」



先輩は、あたしの言葉に、なんだって、イチイチ笑ってくれる。

笑い上戸の先輩。



意を決して、あたしはもう一度、同じ言葉を口にする。



「コウ――」

< 48 / 51 >

この作品をシェア

pagetop