LLE <短>



あたしが無口だと、先輩は困った顔をする。

あたしがフザけて、バカなことをしてると、先輩は笑ってくれる。


あたしが泣くと、また先輩は困った顔をする。

あたしがくっついて離れないと、先輩は迷惑そうな顔をしながらも、最後は絶対笑ってくれる。



だからあたしは、いつだってできる限り、

バカで、先輩のことがダイスキで仕方ない、そんなあたしでいようと思うんだ。



ね、先輩。


もしもあたしに羽が生えていたら、空に憧れたりなんかしない。

もしもあたしが人魚だったら、海に憧れたりなんかしない。



やっぱり、手が届かないものを、ヒトは“憧れ”って呼ぶと思うんだ。


だけどあたしは、誰よりも先輩に憧れていたい。

誰よりも、先輩の近くにいたいのに――



だからね、先輩。


あたしは、どれだけ先輩に近付いたって、どれだけ先輩に触れたって、

ずっとずっと、先輩に憧れ続けるよ。



欲張りなあたしだから。



そうやってこれからも、ずっとずっとずーっと

先輩の一番傍に、あたしをいさせてね?



“アホ”って言いながら、たまには、それを“スキ”に変えて……

あたしの隣で、笑っていてね。



――ダイスキだよ。

先輩っ――


   
     END.
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