チャットは運命 【実話】
「俺、苦手なんだよねあいつ」
眉間にしわを寄せていた。
逆光になってちゃんと見えないけど
横顔がすごくかっこいいなって
素直に思った。
「聞いてる?」
突然こっちを見るからびっくりした。
「え、あぁ聞いてる!
実梨ちゃん良い子だよ」
私は目をそらした。
「本気で言ってんの?」
は?という顔をしていた。
「な、なんで?」
「さっきあいつ宮本のこと睨んでた」
〝宮本〟
名前覚えててくれたんだ。
まぁ、2年間もクラス同じだったから
知らない方がおかしいんだけど。
初めて呼ばれた。
「そう?気のせいだよ」
私は給食を口に運ぶ。
「そんなことない」
CDをかけて機械から離れた彼は
自然に私の前に腰を下ろす。
カップルみたい・・・。
私、変態(笑)
「私、実梨ちゃんと結構
仲良かったよ」
ふーん、と首を少しかしげた。
「てか、俺等初めて喋るね」
西崎秀はクシャっと目を細くして
にっこり笑った。
私に向けられているこの笑顔。
このドキドキはなんだろう。
「そうだねー」
まともに目も見られない。
緊張して声も震えていたかもしれない。
これが西崎秀との初めての会話。
これからあんなことが起きるなんて・・・
この時間が楽しくて何も考えて
いなかった私が悪いんだ・・・。