チャットは運命 【実話】
「あ、ごめん」
自分ばかり喋っていたことに気がついた
沙綾は慌てて謝ってきた。
「いや、謝ることじゃないよ。
てか、私もちょっと・・・はぁ。
んー状況が理解出来ないよね」
頭を抱えた私の肩をいきなり組んで来た
のは、竜歩だった。
「お前やるなぁ!俺等の株も上がる
ってもんよ!」
ほんと、触らないで・・・。
「ファンクラブまで作られた鈴音と一緒に
いたら俺等逆に目つけられるんじゃない?」
調子に乗った竜歩を、月翔がおどした。
「え!まじ!?やだぁ!」
竜歩は私から離れて嫌そうな顔をした。
「なにその目は」
苛立ちを隠せない私も負けじと嫌な
顔をして竜歩を睨む。
「んー、鈴音がなぁ・・・。
お前そっかぁ、かわいいのかぁ」
なにそれ。
「私、仕事あるからアナウンス室戻る」
「おぅ、頑張れよ」
私は荷物だけ置いてアナウンス室に
向かった。
向かう途中ハチマキを結ぶため
トイレに行った。
鏡の前に立って身だしなみを整える。
「よし、おっけいっと~」
トイレを出るためドアを開けようと
したとき、向こう側に誰かいた。
その相手は私より先にドアを開け、
私の目をまっすぐに見つめた。
「実梨ちゃん・・・」
周りに誰もいないとても静かな場所に
私の声だけが響いた。
そのまま実梨ちゃんは私をきつく
睨むと肩を勢いよくぶつけてトイレに
入って行った。