命
私は最初、機械が壊れているのだと思った。
早く直してくださいって、
いったのに。
医者は首を横に振るだけだった。
「じゃぁ・・・」
「残念ですが、ご臨終です・・・」
そういって医者は無言になった。
香矢の手が、
すこしずつ、
すこしずつ、
冷たくなる。
香矢が、辛い思いしてるのに、
私、何にもしてあげられない・・・
母親なのに、
死んでいく香矢を、
見ていくことしかできない・・・
「香矢・・・香矢・・・」
せめて・・・
冷たくなっていく手を、
必死にあたためようとした。