香矢の口から沢山の血が流れてきた。


「口を横にすると血が出てきてしまうので、この脱脂綿を口の中につめておいてください。」


看護婦さんは、

ひどいことをする人だと思った。

何で自分の娘の口に、

沢山のワタを入れなくてはいけないのか、

全くといっていいほど理解できなかった。


でも、家から持ってきて着替えをさせた、

香矢が大好きだった白いワンピースは、

血で赤く染まり始めていた。


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