命
痛い思いまでして、
今度は暑い思いをしなくてはならない・・・
私は、棺にしがみつき、香矢と一緒に死のうとした。
すぐそこまで暑さが来る。
香矢と一緒に死にたい・・・
もう、頭の回路がおかしくなっていた。
その時――、
父が腕をつかんだ。
「もう、家族を失うような思いはしたくない・・・」
下を向きながら、
低い声でそういった。
結城も必死に私の足にしがみついていた。
「ごめんね、ごめんね・・・」
我に帰ったような表情をした私は、
必死に誤った。
――そうだ、
辛いのは、私だけじゃないんだ。
みんな、辛いんだ。
結城なんて、小学三年生なのに、
香矢が引かれたところを見てしまったんだろう。
きっと、あの服の血を見たよりずっとすごい光景で、
沢山の血が流れていたんだろう・・・
私は先生に引き止められたから、
私が事故現場に行くことはなかった。
結城は、それを見ていて、
私をずっと慰めてくれていた。
母親なのに、
何もできていない。
頼りすぎてる・・・
本当に、失格だ。