命
12時過ぎ。
もうちょっとで帰ってくる。
12時40分。
まだかなぁ・・・
13時。
「香矢、ちょっと遅くない・・・?」
心配になって、家を出ようとしたら、
家の電話が鳴り響いた。
何でだろう、
出たく、なかった・・・
「・・・はい。」
『お母さんですか?!』
「え、はい、そうですが・・・」
『娘さんが、事故にあいました。』
「え・・・?!」
――そのあと、どうやって家を出たのかも、
どのように電話を切ったのかも、
覚えていなかった。
ただ、事故にあったのだから、と、
保険証をもっていたのは覚えていた。