好きだって言って?





「何泣いてんの??」




ようやく離れた唇。

男はその直後、聞いてきた。

その整った顔を平然と澄まして。





「ファーストキス・・・・」





あたしは、消えてしまいそうな小さな声で言った。

その間も、涙は頬を伝って流れる。





「ふーん」





それだけかよ!!

心の中で突っ込みたかったけど、気分はそれどころではなかった。




そのとき、後頭部を抑えていた男の手に力が入った。

この男の腕があたしをギュって締め付ける。





「悪い、抱きしめさせて??」




「え・・・・」





あたしの了解も得ずに、さらに力を込めるのを感じた。





< 47 / 87 >

この作品をシェア

pagetop