好きだって言って?






「あ、いえ・・・聞いてます」




実は・・・聞いてませんでした。

なんて言えるわけがない。

少なくとも、

転校初日に教師に目付けられるバカじゃない。

・・・と、自分では思いたい。




「嘘付け、聞いてなかっただろうが・・・。 仕方ないな、もう一度説明してやる」





なんとまぁ・・・

この先生、超優しい。

あたしの思ってること見抜いてくれるなんて。

今まで出合った教師の中じゃトップクラス。




「今日から君は、3年A組の生徒だ」



「3年・・・A組ですか・・・」



頭にインプットするために

先生のあとに続いて口を動かす。




「出席番号は最後の32だ」




「・・・32・・・・」





「ちなみに、君の前が曲者でな・・・」




「く、曲者ですか・・・」




曲者って・・・問題児ってことだよね??

あたし、絡まれないように気をつけよ・・・

第一に近づかないよね。

友達にだって絶対にならないし。

会話だって一切しない。

そうすれば、余裕で頑張れる。

そんな気がしていた。





そう考えた矢先、

信じられない言葉が耳を通った。








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