好きだって言って?






「そーゆーワケだ。 さ、教室に行くぞ」




そう言ってあたしを促す先生。

あたしはされるがまま、

教室の前まで来てしまった。

男子だけの・・・地獄の教室に。




男子だけ・・・

それはあらかじめ分かっていたこと。

でも、実際この場にたってみると・・・

足がガクガク震える。

大輔の脅しも耳にしっかりと残っていて。

悪魔の響きにしか聞こえなかったりする。




「さ、入れ。 生徒がお待ちかねだぞ」




教室の扉の前に立ち尽くすあたし。

壁一枚向こうの空間は地獄。



ふと、目にとまるものを発見した。

扉の横、3年A組と書かれた横に

「山田健太」(ヤマダケンタ)

と書かれている。

おそらく、担任の名前なのだろう。

担任だけは・・・

せめてまともな人でありますように。




その思いも虚しく散った。





扉を先生が開けた瞬間、飛ぶ声。





「お、ヤマケンじゃん!! 転校生来たか??」




や、やまけん!?

山田健太・・・略してヤマケン。

納得してしまったあたしが虚しい。

この体育教師があたしの担任だったのか!!

まともなのか・・・そうじゃないのか・・・

微妙なところ。












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